[今回の過去問]
秋田大学(医学部医学科) 2009年度 目標60分
次の文章を読んで、以下の質問に答えなさい。
著作権の関係により、問題文は省略させていただきます。
設問1 文中の「ノーマライゼーション」とは何か、200字以内で説明しなさい。
設問2 「ノーマライゼーション」を実現するためにはどうすればよいか、あなたの考えを
400字以内で述べなさい。
【これまでの話】
今週も引き続き、国立大学・医学部の小論文を検討します。
[第86回]
「障害者は劣っている?」
A子 「今週も、よろしくお願いします」
平川先生「こちらこそ。前回、『ノーマライゼーション』とは、障害者と健常者が、対等の関係である社会を作ることと定義されました。そして、平等な関係の実現には、多くの人の意識の根底にある『障害者は、健常者よりも劣っている』という考えが問題であることを指摘しました」
A子「はい。障害がある者も、そうでない者も同じ人間である事には変わりない。そこから、私たち健常者が気付かないうちに障害者に負担を負わせている『環境』を取り除いて行くのが、大事だということを述べるべきです」
平川先生「そうです。2020年パラリンピックは、障害者と私たちの間にある差別的な状況を取り除いていく、きっかけになるのではと思います。では、A子さん、以上の議論を踏まえて、前回の答案構成を書き改めましょう」
〈注〉答案構成とは、出題文で問われている事柄について、重要語句の定義、問題点を整理し、表にしたものです。答案として書くべき事項を、簡単にしたものです。
A子「はい」
〈しばらくして、以下がA子さんの書き直した答案構成です〉
A子「修正したのは、2箇所です。『障害モデル』の『①障害をどうとらえるか』の項目の一番下に、この考え方の根底には、『障害者は、健常者よりも劣っているという意識がある』という点を加えました。また、『ノーマライゼーション』の項目に『障害者と健常者が、ともに対等な地域の構成員として生活できる社会を目指すことをいう』という点も加えました」
平川先生「なるほど。確かに、健常者の優越観が無意識のうちに、障害者にとって生きづらい社会を作ってきたかも知れません。私たちにも責任があります」
A子「小学校、中学校ぐらいまでは、私も『障害のある人は、ハンデがあるから、周りが助けてあげよう』という感じのことを、保険体育などの教科で教えられてきました。よく考えると、障害のある人たちを一段下の存在に捉えていて、失礼です」
平川先生「そうですね。それでは、A子さん、この構成を踏まえて、答案を書いてみましょう」
A子「分かりました」
〈以下が、A子さんの書いた答案です〉
1、設問1について
ノーマライゼーションとは、障害を「治す」のではなく、障害が合ってもなくても普通に暮らせる社会をどう作るのか、障害者、健常者の双方ともに対等な社会の構成員とする考え方をいう。
障害を持つ子が、障害を克服するという内向きの考えはやめて、バリアフリーやユニバーサル・デザインの開発、普及を地域で行っていく外向きの発想である。
この考え方の対象は、障害者ではなく、健康な人、つまり私たちである。
(191字)
2、設問2について
ノーマライゼーションの考えが生まれる前提には、障害をどうとらえるかについて、「医学モデル」という考えがあった。
障害をなくすことが社会の使命と捉え、社会適応することより、阻害する要因を取り除くことが大事だと考え、治療やリハビリテーションで、ハンデを克服することこそが、社会の健全化になると捉えた。
しかし、この「医療モデル」の根底には、障害者は、健常者よりも劣っているという意識があった。そこで、「障害モデル」が主張された。この考えは、問題は、障害者自身ではなく、障害者と健常者の間の環境にあるとする。環境を変えることが大事だと、主張する。
このような発想をさらに発展させたのが、ノーマライゼーションである。
障害者を健常者と対等な存在として捉える。
その上で、もちろん治療も続けるが、障害者を拒む環境を改善していく。
実現のポイントは、対等だという意識が、人々に根付くことである。その実現のためには、医療関係者の意識改革、教宣活動とともに社会都市として、バリアフリーやユニバーサル・デザインの開発、普及を図る必要がある。(454字)
A子「先生、できました。少し、字数がオーバーしました。」
平川先生「なるほど、だいたいおさえています。『障害モデル』『医学モデル』は、もう少し削ってもよいですね。ちょっと、書き直しましょう」
A子「はい」
平川先生「さて、やりましょうか、といいたいところですが、そろそろ時間になりました。続きは、来週にします」
A子「はい。今日はありがとうございました」
平川先生「こちらこそ。来週は、この答案を書き直して完成させましょう。
お楽しみに」
【今回のポイント】
「文字数をオーバーしそうな場合の対策は?」
文字数を超えそうな場合、その対策は2つあります。
まず、書く前に文字数がオーバーしそうなときには、具体例を削る。抽象的な言葉に置き換える。
例えば、「良い医師とは、小さな子供からお年寄りまで、年齢に関係なく人の命を尊重し」という表現があったら、「良い医師とは、人の命を尊重し」という具合です(赤字の具体例をカット)。
次に、書いていてしまって、字数を超えることに気付いた場合。このケースは、上記のような赤字に当たる部分を二重線で消すことです。
本番で、鉛筆使用のときに焦って、消しゴムを使うと、その部分が汚くなります。採点者の印象を悪くするからです。
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スクール東京
最高名誉顧問
成川豊彦
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略歴
昭和49年(1974年)
Wセミナー・グループを設立。
平成12年(2000年)
国際著名人年鑑「InternationalWHO’SWHOofProfessionals」に選出される。
平成21年(2009年)
司法試験・予備試験専門の少人数制予備校「スクール東京」の最高名誉顧問に就任。
司法試験・予備試験の合格に向けて、自ら直接指導。
現在
中国・西南法政大学客員教授も務め、教育・健康の分野において国内外で活躍中。
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