[今回の過去問]
2012年度 川崎医科大学 一般入試小論文問題
日本は世界有数の長寿国ですが、その原因についてあなたの考えを
400字以内で書きなさい。(30分、横書き)
【これまでの話】
本講座では、ここ数週間にわたり「時代に応える良い医師」、そして「高齢者」と今年の医学部入試で出題されそうな典型論点について検討しています。
前回、日本人が長生きすることになった要因とともに、その課題について考えました。今週は、その議論で作成した答案構成を基に小論文を書き上げます。
[第91回]
「ミスをなくす」
A子 「今週も、よろしくお願いします」
平川先生「こちらこそ。さて、あと1週間ほどで2019年も終わり、いよいよ勝負の時がきます。前回作った答案構成を使って早速、書き上げましょう」
A子「はい、分かりました(かなり緊張した様子)」
平川先生「(ニッコリ笑って)とは言っても、たかが試験。まず、深呼吸。のびのびとやってください」
A子「はい(先生の言葉に、ちょっとだけ、落ち着いた様子)」
以下が、A子さんの作った答案構成です。
【答案構成】〈注〉答案構成とは、答案の柱となる事項を書き出し、表にして整理したものです。
次に、A子さんが今回書いた答案です。
【最初の答案】〈注〉修正線は、後で訂正または削除した部分、赤は訂正した同一語句です。
日本が、世界有数の長寿国になった原因は、第1に貧富の差に関係なく、誰もが同じように治療を受けられる、皆国民健康保険制度が挙げられる。戦後の医療制度改革により、国民すべてが同じように病気になっても万全の治療を受けられるようになった。
また、魚や野菜中心の和食の食文化も、寿命を伸ばす要因となった。
戦前まで、日本人の平均寿命は50代前後で、世界的に見ても決して寿命は低かった。半世紀にも満たない間に世界有数の長生きの国になった主な原因は、この2つが指摘できる。
もっとも、ファスト・フード店が街に溢れるにつれて、食文化も欧米かが進み、肉や刺激物、脂っこい食事が広まり、かつて長寿県を誇っていた沖縄県は、寿命が頭打ちになっているケースも出てきている。
和食文化を維持するだけでなく、この優れた食文化を世界にひろめることは、世界に貢献することにもなる。
また、長寿にともなう生きがいのある人生を送る。高齢者は、社会参加、再就職などQOL(quality of life)の高い生き方そんな自覚を持つことが大切だ。
(430字)
平川先生「おおむね書けていますが、少しミスがあります。
同様の表現や誤記(前ページ訂正線)、同一語句(前ページ赤字部
分)を直しましょう」
A子「はい、分かりました」
(5分ほど経って)
しばらくして、以下がA子さんの書き上げた答案です。
【修正した答案】
日本が、世界有数の長寿国になった原因は、まず、貧富の差に関係なく、誰もが同じような医療を受けられる、皆国民健康保険制度が挙げられる。戦後の医療制度改革により、実現した。
また、健康によい魚や野菜中心の和食の食文化も、寿命を伸ばす要因となった。
戦前まで、日本人の平均寿命は50代前後で、世界的に見ても命の長さは短かった。半世紀にも満たない間に、世界有数の長生きの国になった原因は、この2つである。
もっとも、ファスト・フード店が街に溢れるにつれて、食べ物も欧米化が進んでいる。肉や刺激物、脂っこい食事が広まり、かつて長寿県を誇っていた沖縄県では、寿命が頭打ちになっている。
和食文化を維持するだけでなく、この優れた食事を世に広めることは、世界の人々に貢献することにもなる。
高齢者は、長寿に値する生きがいのある人生を送るべきだ。それには、老人自身が社会参加、再就職などを進め、QOL(quality of life)の高い人生にする努力が大切だ。(401字)
A子「できました」
平川先生「はい、今度は誤字・脱字、繰り返しの表現もありませんね。
時間も、10分もかかりませんでした。合格答案です」
A子「ありがとうございます。先生のご指導のおかげです」
平川先生「いやいや、A子さん、あなたが、この1年コツコツと続けてきたからです。この調子で、2020年春、絶対に医学部、合格です!」
A子「はい(先程の硬い表情は和らぎ、元気よく返事をする)」
平川先生「では、今日はここまでとします」
A子「ありがとうございました」
平川先生「来週も引き続き、高齢者と医療の問題を取り上げます。
お楽しみに」
【今回のポイント】
「最後の詰めまで、しっかりと」
「医学部に合格して、医師になる」という、あなたの夢の実現まで、あと少しです。こんな時だからこそ、最後まできちんと1つ1つの詰めをやっていきましょう。
ポイントは、基本に帰る。どうか、あと少しだけ頑張ってください。
夢を、絶対に実現!
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スクール東京
最高名誉顧問
成川豊彦
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略歴
昭和49年(1974年)
Wセミナー・グループを設立。
平成12年(2000年)
国際著名人年鑑「InternationalWHO’SWHOofProfessionals」に選出される。
平成21年(2009年)
司法試験・予備試験専門の少人数制予備校「スクール東京」の最高名誉顧問に就任。
司法試験・予備試験の合格に向けて、自ら直接指導。
現在
中国・西南法政大学客員教授も務め、教育・健康の分野において国内外で活躍中。
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