受験ノウハウ

平川先生の小論文講座㉘ ―杏林大学医学部(センター利用、2008年度―

本日は、平川先生の小論文講座第28回目をお届けします!

[今回の過去問]
「杏林大学医学部(センター利用、2008年度)
『あなたが考える良い医師とは』について、述べなさい」(800字以内。60分)

[第28回]
前回は、「良い医師」の定義を明らかにしました。今回は、この定義に基づいて、どのような事柄が,プロの医者として求められるかを検討します。

「答案構成を、完成させる」

平川先生:「先週の講義では、『良い医師』とは、医療の専門家で高度の知見があり、病気について信頼して相談できる人のことをいう、と定義しました。
この言葉の意味から、まず、医療の専門家である以上、その専門性を維持し発展させるために日々、努力することが求められるます。
もう少し、具体的にいうと、どういうことだろう」

スク男:「専門性と高度の知見については、今日の医療技術の発展に対応できるように、日頃から情報を収集し、理解を深めることが、欠かせないと思います。他の医師との共同研究・交流も必要だと、考えます」

平川先生:「なるほど。次に,患者から信頼されるためには、医師はどうすればよいでしょう」

スク男:「うーん、具体的に考えると、分かったようで分かりません。患者から信頼されるとは、どういうことか。そこから考える必要があると思います」

平川先生:「そうだね。ある人が,他人を信用して頼るとは一体、どういうことだろう。
ここで、信頼と信用とは、ある人や物を高く評価して,すべて任せられるという気持ちを抱くことだね。うそや偽りがなく確かだと信じて疑わないことを表します。相手を高く評価し,任せられるという気持ちを抱く意味です」

スク男:「そうか、だから信頼される医者であるためには、普段から誠実であることが大事なのか。患者さんとの話も,誠意を持って臨み、おざなりしない。常日頃からの姿勢が、大切なんですね。」

平川先生:「そうです。では、大まかな答案構成もできたところで、今日は書いてみましょう。スク男君は、初めて書くのだね。時間がかかってもいいから,一気に仕上げてみよう」

スク男:「はい、分かりました」

[しばらくして。以下が、スク男君の書いた答案です]

1、良い医師とは、患者の傷病を診察し、治療することを職業とし、病んでいる人を健康にする医療をいう。そのためには、高度の専門性を持つことと、日々の医療活動においては、誠実な態度で病の人に接することができなければならない。

2、病んでいる人を健康にするためには今日、医師が、医療における基礎的な知見を基に、IT,AI等を活用し、最先端医療に基づく治療することが、求められる。現場における正確かつ迅速な決断力を持つことが要求される。また、がん治療や遺伝子治療等の先端医療に対する理解を深め、絶え間ない研究を重ねることに努める、必要がある。
さらに、他の医師との勉強会や大学病院や大学院での共同研究をし、現場を共にする医療スタッフとの学習会を持つことも要求される。医療に関する国際的な交流を深めることも欠かせない。
このようにして、絶えず高度な専門性を維持、発展させるように努力する。

3、次に、医師には患者から命を託されている者として、また、医療チームの責任者としてのコミニュケーション能力が求められる。
診断において、ろくに患者の顔も見ずにパソコンの画面だけで、その数値を伝えることしかしない者がいる。こんな形だけのやり取りは、診断ではない。診察は、「この医師なら任せられる」というものでなければならない。相手からの信頼があってこそ、症状、病気の原因を正しく把握し、治療することができる。日常の声かけも、「患者の命を救うのだ」という、心の底から発露するものでなければならない。
また、医療スタッフの責任者として、メンバーとの積極的な意見交換をしながら、チームプレーに徹する。日常的な意思疎通を通してこそ、患者の病状に合わせた適切な対応ができるのである。
(718字)

平川先生:「初めてにしては、よくできています。
最初に、『良い医師』の定義を述べ、それに基づいて、何が医者として求められるか、順を追って述べていく姿勢がよいですね。自分なりに考えた具体例も入っており、分かりやすい文章です。答案構成をしっかりしたおかげだね。合格答案です」

スク男:「ありがとうございます。ただ漠然と題意をつかむのではなく、1つ1つの概念を整理して、その上で、論理を積み重ねる。答案を書く上で大事なのが、思考の整理だと思いました」」

平川先生:「答案構成の重要性が分かったようだね」

スク男:「はい」

平川先生:「次は、慶應義塾大学の2005年度の問題をやってみましょう。
『弱さを持つヒトとは、どのようなヒトであるか、あなたの考えを述べよ』、という問題です。注意すべきは、人とするところを『ヒト』としていること。いろいろ考える点がありそうです。お楽しみに」

【合格する小論文のヒント】

「答案構成ができたら、書くのは簡単」

答案構成で、述べるべき事柄が整理されます。文を表す上での軸ができます。したがって、後の記述は、簡単です。
書くべき事柄の関係、順番を明らかにしておくことこそ,小論文・合格の要です。

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平川先生の小論文講座 監修
スクール東京
最高名誉顧問
成川豊彦
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略歴
昭和49年(1974年)
Wセミナー・グループを設立。
平成12年(2000年)
国際著名人年鑑「InternationalWHO’SWHOofProfessionals」に選出される。
平成21年(2009年)
司法試験・予備試験専門の少人数制予備校「スクール東京」の最高名誉顧問に就任。
司法試験・予備試験の合格に向けて、自ら直接指導。
現在
中国・西南法政大学客員教授も務め、教育・健康の分野において国内外で活躍中。

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