受験ノウハウ

平川先生の小論文講座⑰

本日は、平川先生の小論文講座第17回目をお届けします!

[設問]近畿大学医学部2009年度・後期試験  40分 400字以内

「医療崩壊の社会構造と解決策」について

[これまでの話]
前回から、「医療崩壊」という現代医療の直面する課題について、考えています。
先日、2年前に起きた病院での原因不明の患者の連続死亡の事件について、真犯人は同病院に勤務していた元看護師の女性だと、報道されていました。
また同じ年には、知的障害者福祉施設における施設職員の男性による大量殺人事件もあり、世間の話題となりました。
もちろん、今回の課題とは、直接の関係はありません。
しかし 、最近、医療現場を舞台とした悲惨な事件が後を絶ちません。
そこには、人員不足が慢性化し、ひっ迫して余裕がなくなっている医療現場の現状が、かいま見られます。
今回のテーマの背景には、そんな深刻な医療崩壊の現状があることを、念頭におく必要があります。

[今回(17回目)] 「社会構造には、『量的側面』と『質的側面』の2つがある」

平川先生「医療崩壊の社会構造としての『量的側面』とは、何が指摘できるでしょう」

A君「『量』ということから、次の事柄がいえます。
まず、⑴都市と地方の医師の偏在があります。地域偏在の問題です。
次に、⑵産婦人科医・小児科医が少ないことが問題提起できます。
診療科偏在の問題です」

平川先生「そうですね。では、『質的側面』としては、どういうことが課題だろう」
A君「『質』ということで、以下の点が指摘されます。
⑴地域偏在、診療科偏在という 『量』の面の偏りが大きくなりすぎ、医療サービスの低下になっている。
また、
⑵一部患者の過剰な要求により、他の診察を受けている者が、十分なサービスを受けられないことも指摘できます。
⑶医療ミスに対する、訴訟が増え、現場が萎縮していることが挙げられます。
国の認識は甘く、2000年代半ばになってやっと取り組むようになりました。諸外国に比べ、対策は遅れています」

平川先生「そうだね。おおむね、『医療崩壊の社会構造』については、問題点が出されたね。
では、解決策はどう考えますか」

A君「まず、
⑴地域偏在解消に向けては、医師の労働条件の改善をすることです。同時に地域の拠点医療施設の充実を図り、バランスの取れた地方の医療体制を作り上げることです。そのためには、自治体任せでは限界があります。国の施策として行うべきです。」

平川先生「なるほど、医者の特定地域への偏在の解消である以上、国が率先して進める必要があるね」

A君「はい、次に、診療科偏在に対しては、
⑵産婦人科医・小児科医を重点に、地方への人的割り当て制度を作る必要があると思います。これも、地方自治体だけでは無理です。
国の施策として進める必要があります。
また、
⑶として、せっかく医師国家試験に通っても、出産、育児のために医療現場から離れてしまう女性医師を積極的に起用すべきです。そのためには、出産、育児に対して、社会として彼女たちの負担を軽減するような制度、施策が必要です。
さらに、
⑷一部の過剰なサービスを要求する患者の姿勢を改めるような、国民に対する啓蒙活動も進める必要があると、考えます」

平川先生「うん、大事な課題を、かなり具体的に考察しましたね」

A君「はい、先生の指導を受けて、そろそろ4ヶ月です。
答案構成の仕方も、分かってきました」

平川先生「論理的に思考し、まとめることが、できるようになってきたね。
さて、次回は、以上の答案構成を踏まえて、論述を完成させましょう。
お楽しみに」


[本日の講義のポイント]
医学部•小論文で一番大事なことは、出題者の意図に応えることです。
この講義では、皆さんに、
平川先生とA君とのやり取りを通して、出題意図に応えて、どう答案構成をし、それを答案として表現するか、細かく述べています。
ある程度、時間がかかるのは、やむをえません。
もっとも、医学部•小論文の試験は、時間の制約があります。
今回の近畿大学医学部•後期試験も、実際には、40分で完成させなければ、
いけません。
定義と、それに基づく、答案構成ができるようになったら、
時間内に書く訓練も、そろそろ始めましょう。

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スクール東京
最高名誉顧問
成川豊彦
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略歴
昭和49年(1974年)
Wセミナー・グループを設立。
平成12年(2000年)
国際著名人年鑑「InternationalWHO’SWHOofProfessionals」に選出される。
平成21年(2009年)
司法試験・予備試験専門の少人数制予備校「スクール東京」の最高名誉顧問に就任。
司法試験・予備試験の合格に向けて、自ら直接指導。
現在
中国・西南法政大学客員教授も務め、教育・健康の分野において国内外で活躍中。

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