受験ノウハウ

平川先生の小論文講座⑬

本日は、平川先生の小論文講座第13回目をお届けします!

[設問]浜松医科大学(医学部医学科)2009年度  80分 750〜800字

「山本周五郎の代表作の1つに『虚空遍歴』という作品がある。その最後の場面で、主人公の中藤中也が死ぬ前に、夢の中の祖父の言葉だといって、付きそうという女性に語りかける次のようなことばがある。
‥‥‥死ぬことはこの世から消えてなくなることではなく、その人間が生きていた、という事実を証明するものなのだ。死は、人間の一生にしめ括りをつけ、その生涯を完成させるものだ。消滅ではなく完成だ。
この作品が書かれたのは、1961年から63年にかけてのこと、日本は高度成長に浮き足立ち、多くの日本人は病いや死のことなど考えもせず、ひたすら生の欲望を無限に追求することに狂奔していた時代であった。
それから30年、高度成長の申し子としての高度医療の達成を背景に、高齢化社会と慢性病の時代が到来し、私たちはだれもが病や死と否応なく向き合わざるを得ない時代を迎えた。(以下、略)」
(立川昭二『生と死の現在』142ページ 岩波書店、1995年より)

下線部に書かれているように 死が完成だとすると、医療はそれにどう関わって行くべきなのか。あなたの考えを750〜800字で書きなさい。

[これまでの話]
前回から、少し重たいテーマである「死」について検討しています。
人として最後の場面について、どう対するのか、医療における最も重要な課題について考えてみましょう。

[今回(13回目)] 「『死』が完成とは、どういう意味か」

平川先生「前回は、人の『死』と医療はどう向き合うのかが問題のポイントであることが、明らかになりました。
今回は、医療の関わり方について、考えていきましょう」

A君「はい、まず、その持つ意味については、問題文にあるように、現代は、もはや高度経済成長期のごとく、『ひたすら生の欲望を無限に追求することに狂奔』することは許されない時代です。命には、限りがあることに、社会が意識し始めました。
どんな人も避けられない最後の場面とどう向き合うかが、大きな課題となっていると思います」

平川先生「うん、なるほど。
そこで、誰もが迎える人生の最後について、医療は、その人らしい人生の幕引きを迎えることができるようにすることが、問題となる。
まさに、『死が(人生の)完成』となるようにサポートしてあげる、ということになるね」

A君「そうです。医療は、人の生命の内容という点で『質』と、命の続く期間という点で『量』という、2つの側面の手助けをする役割を持つと考えます。

具体的には、『生命の質』という面では、患者である高齢者に、本人の体の状態についての正確な情報を提供する。場合によっては、家族に、その情報提供を行う。
最後まで、持続的なケアをして、安らかな日々を過ごせるようにすることだと思います。
次に、『生命の量』という面では、延命についての課題があると、考えます」

平川先生「安楽死と尊厳死の問題だね。この点だけでも、医学部の入試に出されておかしくない事柄だ。さて、書くべきことが、かなり整理されてきたところで、時間がきました。次回は、この『生命の量』の面について、もう少し議論して、答案作成に入りましょう。ご期待ください」

[本日の講義のポイント]
「死ぬこと、老いることは、あなた自身の問題でもある」
今回は、「死」という、重たい問題です。抽象的で、捉えどころがないようにも思われます。それだけに、普段から皆さんが、医療に関わる重要な事柄として、意識しておくことが大事です。死ぬことは、誰もが避けられない。
老いていくことは、あなたの課題でもあるのです。
日頃、物事について考える習慣を付けておくことが、最大の受験対策です。
出題者は、あなたの人間性について、聞いているのです。

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スクール東京
最高名誉顧問
成川豊彦
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略歴
昭和49年(1974年)
Wセミナー・グループを設立。
平成12年(2000年)
国際著名人年鑑「InternationalWHO’SWHOofProfessionals」に選出される。
平成21年(2009年)
司法試験・予備試験専門の少人数制予備校「スクール東京」の最高名誉顧問に就任。
司法試験・予備試験の合格に向けて、自ら直接指導。
現在
中国・西南法政大学客員教授も務め、教育・健康の分野において国内外で活躍中。

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