受験ノウハウ

平川先生の小論文講座⑯

本日は、平川先生の小論文講座第16回目をお届けします!

[設問]近畿大学医学部2009年度・後期試験  40分 400字以内

「医療崩壊の社会構造と解決策」について

[これまでの話]
前回までは4回にわたって、浜松医科大学(医学部医学科)2009年度の問題を介して、「死」という医療にとっては、避けて通れない問題について「生命の質」と「生命の量」という2つの側面から考えてみました。
今回からは、現代医療の直面する課題について、考えてみましょう。

[今回(16回目)] 「個々の医師の負担が増大する、医療現場」

平川先生「今週からは、近畿大学・医学部の2009年度・後期試験の出題を
検討します。
課題は、『医療崩壊の社会構造と解決策』です。
では、これから議論を進める上で、A君に質問です。
そもそも、『医療崩壊』とは、どういうことでしょうか」

A君「崩壊ということから、医療体制が安定的・継続的に成り立たなくなることだと思います」

平川先生「そうですね。では、この出題について、どんなふうに答案構成を進めていきますか」

A君「今回の課題は、日本の医療の直面する問題として、医学部を受験する者にとって知っておくべき事柄と思います。
抽象的に考えるのでは、出題者の意図に応えることはできないと思い、答案構成をする前に、現状を少し調べてきました」
平川先生「なるほど、よく考えました。『崩壊』とある以上、どんなに深刻な問題か、まず知る必要がありますね」

A君「そうです。
まず、地域偏在の問題が指摘されます。
医者は、現在、全国で30万人を超えています。
かなりの数いるようにも思われます。
しかし、そのうち人口10万人当たりの医者の数が、150人以下の地方自治体が半数近くを占め、人員不足は深刻です。特に東日本地方が問題です。

次に、診療科偏在の問題です。
医者となる者が、特定の診療科に偏る傾向が見られます。
根底には、「楽して報酬を」、という若手の医者、医学生の安易な意識が指摘されます。
一部の診療科では、人手不足により各人の勤務時間が長時間になる傾向が見られます。
産婦人科、外科、小児科、救急科では、週あたりの勤務時間が60時間を超える割合が、医師の割合の50パーセント近くか、それ以上となっており、1人1人の医師の負担の重さが深刻な問題となっています」

平川先生「そうですね。医師の勤務状況の厳しさは、最近ニュースでもよく聞きますね。
では、医療従事者の負担の増加により、具体的にどんな問題が起きているでしょう」

A君 「担当の診療科における勤務時間が、かなりの重荷になっている状況が見られます。医療現場では、『もう、限界だ』と、多くが悲鳴を上げています。
そのため、ミスも増え、医療サービス自体の低下が生じています。医療訴訟も、増加傾向にあります。
地方での診療体制は、まさに『崩壊』寸前だといえます」

平川先生「なるほど。医者の地域偏在、診療科偏在が、今日の医療における愁眉の問題だということが、分かりました。同様の問題は、2007年度の岡山大学(医学部医学科)でも、聞かれています。
では、今回の近畿大学医学部の出題意図は、理解できましたね」

A君「はい、現在の治療現場が抱えている深刻な問題を、僕たち受験生に認識させて、目指すべき医療の将来を考えさせることにあると、思います」

平川先生「その通りだね。
次回は、君が調べて分かった、医療崩壊の現状において、社会構造上どのような点が問題なのか、整理してもらい、その解決策を考えてみよう。
そろそろ時間が来ました。
来週をお楽しみに」


[本日の講義のポイント]
「日本の医療の抱える問題を、理解しておこう」
前回、医学部•小論文について、勉強することは、論理的な思考力を身に付けていくことでもある、と言いました。
ただし、だからといって、知識的なことが一切いらない、というわけではありません。
日本の医療が、今抱えている課題を知っておくことは、みなさんが将来どんな医師になるかを決める上で、欠かせない前提条件といえるからです。
近畿大学医学部の過去問の検討を通して、医療の直面する状況を考えてみましょう。

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スクール東京
最高名誉顧問
成川豊彦
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略歴
昭和49年(1974年)
Wセミナー・グループを設立。
平成12年(2000年)
国際著名人年鑑「InternationalWHO’SWHOofProfessionals」に選出される。
平成21年(2009年)
司法試験・予備試験専門の少人数制予備校「スクール東京」の最高名誉顧問に就任。
司法試験・予備試験の合格に向けて、自ら直接指導。
現在
中国・西南法政大学客員教授も務め、教育・健康の分野において国内外で活躍中。

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