受験ノウハウ

平川先生の小論文講座⑧

本日は、平川先生の小論文講座第8回目をお届けします!

[設問]
杏林大学医学部(センター利用、2008年度)
「あなたが考える良い医師とは」について、述べなさい。(800字以内。60分)

[これまでの話]
前回で、A君の答案には、「良い医師」に必要な高度の専門性とコミュニケーション能力について「まとめ」がありませんでした。そのため、出題者が求める目指すべき医者の姿が、今ひとつはっきりしませんでした。今回は、欠けていた「まとめ」を書き、小論文を完成させます。

[今回(8回目)] 「出題者の意図に沿って」

平川先生「前回の最後に、出題者は、受験生が、目指すべきと考える医者の姿を聞いている。だから、最後の『まとめ』で、理想を達成するためには何が必要か、『あなたの考えを』表すべきと言いました。少し、時間をあげますから、A君の考えを記述してみてください」

A君「分かりました。ちょっと書いてみます」

[しばらくして]

A君「先生、終わりました。添削をお願いします」

[ 以下、青い活字は前回書いた、黒の活字が今回、書き加えた文章です。]

1、はじめに
良い医師とは、人名の尊重を理念として、総合医療を目指しながら患者の傷病を診察し、治療することを職業とする人をいう。総合医療とは、人を体全体としてとらえ、健康にする医療をいう。そのためには、医師自身が高度の専門性と、コミニュケーション能力をもつことが、求められる。
2、高度の専門性とコミュニケーション能力
総合医療では、高水準の専門性が要求される。医師が、医療における基礎的な知見を基に、IT,AI等を活用し、最先端医療に基づく治療をする。ここで、基礎的な知見とは、医療における基本的な知識、経験等をいう。これを基に、がん治療や遺伝子治療等の先端医療に対する理解を深め、技術を習得する。そのために、他の医師との勉強会、大学病院や大学院での共同研究をしたり、医療スタッフとの学習会をもつことが求められる。さらに、医学に関する国際的な研鑽を積み、絶えず高度な専門性を維持、発展させることに努める。
次に、医師は患者から命を託されている者として、また、医療チームの責任者として、コミニュケーション能力が求められる。
まず、診断において、医師は、適正な治療のために症状、病気の原因を正しく把握しなければならない。それには、「この医師なら、任せられる」とういう信頼関係が前提である。病人に対する声かけも、「患者の命を救うのだ」という心の底から発露するものであるべきだ。
そして、スタッフ責任者として、メンバーとの積極的な意見交換をする。意思疎通があってこそ、適切な対応が出来るからだ。

3、問題点とまとめ
もし、医師に高度の専門性とコミュニケーション能力が、欠けていたら、病に悩む者は、医師や医療機関を信用しなくなり、医療は信頼を失う。
以上から、良い医師とは、医術の専門家であり、患者をはじめ他人との意思疎通がうまく出来る人をいう。根底には、「患者の命を救うのだ」という温かい心を持っていなければならない。 (797字)

A君「自分の考えをまとめるに当たっては、なぜ、高度の専門性とコミュニケーション能力が必要なのか、もし、それらが無かったらどうなるのか、という視点から述べました。そして、最後に根本として、人の命を預かる仕事なんだ、ということを確認しました」

平川先生「よい展開ですね。ただ、大事だ。重要だ、と書いても説得力はありません。何故、必要なのか、A君自身の問題意識がよく出ています。うまくまとめ上げました。『あなたの考え』という、出題者の意図に沿っています。合格答案と、いえます。
大分、書く力が付いてきたね。次回は、信州大学医学部2007年の問題、『ドクター・ショッピング』の問題を検討してみましょう」

A君「先生、ドクター・ショッピングって、何ですか」

平川先生「患者が、1カ所の医療機関だけで受診するのではなく、ウインドー・ショッピングのように、あちらこちらの病院を巡ることをいいます。言葉自体、知らなくても問題文に説明があるので、心配なく。こんな患者さんの話、A君の周りでも聞いたことあるでしょう」

A君「ええ、医者も色々いるから、何か所も回ってみる、という話は聞いたことあります」

平川先生「根底には、医療不信という重大な問題が潜んでいます。医学全体に対する理解にもつながるので、じっくり検討しましょう。お楽しみに」

[本日の講義のポイント]   「何故、という問題意識を持つ」
市販されている医学部・小論文対策の参考書には、「この論点はこれが重要、こんな論証を覚えておきましょう」、というようなものが、結構多いようです。なるほど、知らないより知っていた方が、本番では、多少は書きやすいかもしれません。しかし、実際の入試では、そんな典型的な論点は、最近では、ほとんど出題されません。日頃から、「何故か」という問題意識を持って、過去問の検討をする方が、論理的思考力が付き、説得力のある文章が書けます。

スクール東京
最高名誉顧問
成川豊彦
~~~~
略歴
昭和49年(1974年)
Wセミナー・グループを設立。
平成12年(2000年)
国際著名人年鑑「InternationalWHO’SWHOofProfessionals」に選出される。
平成21年(2009年)
司法試験・予備試験専門の少人数制予備校「スクール東京」の最高名誉顧問に就任。
司法試験・予備試験の合格に向けて、自ら直接指導。
現在
中国・西南法政大学客員教授も務め、教育・健康の分野において国内外で活躍中。

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